カルテコの開発の考え方
考え方はとてもシンプルです
これまでの困りごと ―「直せるのに、出せない」
たとえば、データの取り込みに小さな間違いが見つかったとします。直し方はもう分かっている。なのに、これまでは「次のまとまった更新日」まで、その修正をお届けできませんでした。ときには2週間先。その間、小さな不具合が残ったまま、という状態になりがちでした。直せるのに、出せない。これは私たち作り手にとっても、とても歯がゆいことでした。
なぜ「速い」ほうが「安全」なの?
「速くする」と聞くと、「雑になって、かえって危ないのでは?」と感じる方が多いと思います。でも、実はその逆です。身近な例で言うと、あなたのスマホのアプリは、気づかないうちに少しずつ、何度も更新されています。大きなトラブルがめったに起きないのは、小さな修正を、こまめに重ねているからです。
逆に、半年分の変更を一度にドカッと入れると、もし不具合が出たとき「どこが原因か」が分からず、影響も大きくなります。小さくこまめに直すほうが、間違いに気づきやすく、何かあってもすぐ元に戻せる。だから「速い=安全」なのです。私たちが目指すのは、修正をその日のうちに、安全にお届けする状態です。
なぜならば
変更が小さいほど、もし不具合が起きても「影響する範囲」も小さくて済みます。大きな変更をまとめて出すより、小さく頻繁に出すほうが、結果として安全なのです。速さは目的ではなく、安全を高めるための手段です。
安全のための仕組み
「速くても安全」を支えているのは、次の4つの仕組みです。
自動でチェック
人が確認する前に、コンピューターが何重にもテストします。
AIが下読み
人の見落としを減らすため、AIが先に問題点を確認します。
まず一部だけ試す
いきなり全員にではなく、最初はごく一部にだけ届けて、問題がないか確かめてから広げます。
すぐ元に戻せる
万一おかしくなっても、自動ですぐに元の状態へ戻せます。
もうひとつ大切なこと。医療の情報を扱う以上、「いつ・誰が・何を・なぜ変えたか」の記録が自動でもれなく残ります。手作業のときよりむしろ確実です。速くすることと、きちんと管理すること。この2つは、ちゃんと両立します。
みなさまにとっての意味
カルテ庫の開発ルールは ―― AIでの高速開発とともに修正があれば、より早く・より安全に変更・修正ができる。それが一番大事なルールです。
FOR ENGINEERS
技術の全体像(概要)
深掘りはしません。詳細は別途、設計書で。
アーキテクチャ概要
狙いは Dev修正 → Stg検証 → 本番リリース = 約1時間。これを4本柱と5レイヤーで実装します。
4本柱
マイクロサービス化
ドメイン分割/独立デプロイ/データはサービスが所有。=変更を小さく。
完全自動化 CI/CD
IaC/イミュータブル/トランクベース。=人手を外す。
AI検証
コードレビュー/テスト生成/回帰判定。AIは一次、人が最終。=速くても品質を落とさない。
AI保守(AIOps)
常時監視/異常検知/自動ロールバック。=守る速度も上げる。
5レイヤー
1時間パイプライン(概要)
コミットを起点に、本番監視まで約60分。人が触るのは「①コミット」と「⑥承認」の2点のみ、残りは全自動です。
コミット
ビルド・単体
AI検証
Stgデプロイ
Stg検証
承認
本番(カナリア)
監視
TOTAL 約60分
なぜならば
律速になるのは「自動化されていない工程」だけです。人を作業から外して判断(承認)に集中させ、検証・デプロイ・監視をAIと自動化に委ねる。これで初めて1時間が現実的な数字になります。
安全装置と品質ゲート(概要)
安全装置(速くても安全な理由)
- カナリア:数%に先行 → 段階拡大
- ブルーグリーン:瞬時に切替/切戻し
- 自動ロールバック:しきい値超過で自動復帰
- イミュータブル:毎回作り直し=戻せる
品質ゲート(fail-closed:迷ったら止める)
- G1 CI:単体カバレッジ ≥ 80%
- G2 AI検証:重大指摘 0・脆弱性 High 0
- G3 Stg:E2E 全パス・性能劣化 < 5%
- G4 / G5 承認 / 本番カナリア指標内
コンプライアンス & ロードマップ(概要)
3省2ガイドラインとの両立は、「自動化=記録を省く」ではなく「記録を確実に残す」という発想で担保します。変更管理・承認証跡・最小権限・トレーサビリティを全自動で証跡化(手動運用より監査適合性はむしろ高い)。
| フェーズ | 主な施策 | 到達リードタイム |
|---|---|---|
| Phase 0 基盤整備 | IaC化/コンテナ化/CI構築 | 数日 → 1日 |
| Phase 1 自動化 | CD自動化/Stg自動検証/カナリア | 1日 → 半日 |
| Phase 2 AI検証 | AIレビュー/テスト生成/回帰判定 | 半日 → 数時間 |
| Phase 3 AI保守 | AIOps/自動ロールバック完成 | 数時間 → 1時間 |
- 1時間リリースは「速さ」でなく「安全」のための設計。
- 鍵は4本柱:μSvc化 × 自動化CI/CD × AI検証 × AI保守。
- 段階的に・fail-closed で・記録を残しながら。一気に1時間は狙わない。